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ゴールデン・バットじけん
ゴールデン・バット事件
海野 十三
「新青年」1933(昭和8)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,946 字 · 46 页
「これは君江から、すっかり訊いてしまったことなのだよ。君江が一時、狂暴になったことがあったネ。あれは金が寵愛をチェリーに移し始めた頃だったんだ。君江はそれを愚図愚図云ったものだから、金は怒って、それじゃお前には今までのように薬をやらないぞといって、薬の制限で君江を黙らせようとしたのだ。君江は他の女よりすこし分量を多く貰っていた。それは金が彼女を強烈に興奮させて置いて、自分の慾情を唆ろうとしたためだった。ところがその分量を減らされたために、君江はああして金に喰ってかかったのだ」
「ああ、するともしや……」と私は口に出しかけたが、気をかえて、「一体あのモヒ剤はどこから金が手に入れていたのかい」
「それが問題だったが、これも神戸で調べあげた。あれは某方面から密輸入をしたヘロインだったんだ。金はそれを手に入れたときに、あの用い方も一緒に教わったものらしい」
「では、相当貯蔵していたんだネ。でも金の部屋から、そんなものが出て来た話を聞かなかったじゃないか」
「そうだ。そこに面白い問題があるんだよ」と帆村はいかにも愉快そうに微笑んだ。「いまにだんだん判ってくるから」