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ザザむしのつくだに

ザザ虫の佃煮

佐藤 垢石

「釣趣戯書」三省堂、1942(昭和17)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,267 字 · 5 页

青空文庫

これよりは、安佃煮の沙魚の方がおいしいようだ。一体信州という国は、山国で海の方から味のいい魚がこないために、昔から川の虫まで酒の肴にして、それを佳饌としたのであろうが、他においしいものがなかったから、こんなものでも珍重するに至ったのであろう。と、私が半畳を入れるのに対して、博士はあるいはそうかも知れん、と、あっさり答えて、盃を干すのであった。

昔から、信州人は悪食を好むときいてきた。信州国境の方では、青大将の釜蒸し。蟇の刺身。なめくじの酢のもの。鼠の裸兒の餡かけ。蜂の親を、活きているまま食うこと。いろいろと伝えきいてはきたけれど、川虫を食うのを見るのは、このときがはじめであった。