轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ジロリのおんな

ジロリの女

坂口 安吾

前半「文藝春秋 第二六巻第四号」1948(昭和23)年4月1日、後半「別冊文藝春秋 第六輯」1948(昭和23)年4月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,597 字 · 102 页

青空文庫

ヤス子は毛筋ほども表情をかえず、

「私のことは私の責任で致しますことですから、欠席は無用と存じますけど」

「いえ、そこが私のお願いなんです。これは社長の命令ではありません。お願い、つまりですな、私は大浦先生が憎らしいから、ひとつ、裏をかいてやろうというわけです」

「私は大浦先生を憎らしいとは思いません」

ズバリと云った。私への敵意がこもって見えたけれども、私はこれを決意の激しさによるせいとして、たじろがない。

「だって、憎たらしいじゃありませんか。美代子さんの捜査だなんて、心にもないことを云って、卑怯ですよ」

「あの場合、それが自然ではないでしょうか。つまらぬことを、わざわざ正直に申す方が、私には異様に思われます」

「これは参った。まさしく仰せの通りです。それは実は私のかねての持論の筈だが、私はまったく、持論を裏切る、小人物の悲しさというものですよ」

こういう御婦人に対してはカケヒキなしにやるに限る。

ヤス子は初対面の博士を好ましからぬおもいで見ていた様子であるが、並々ならぬ御執心にほだされて、好意に変っているのである。ヤス子の正義と見るものは、その人の偽りなき直情であり、その人の過去の色事などは意としておらぬ。