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スポールティフなしょうふ

スポールティフな娼婦

吉行 エイスケ

「文学時代」昭和5年2月号(*原題には「横浜」という副題がある)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,705 字 · 8 页

青空文庫

支那のフオックス・トロットが劇場の地下室の踊場から聞えてきた。此界隈はもと孫逸仙が亡命中の隠れ場所であった。

私が息をきらしてマリに××りになると、彼女の額に接吻して言った。

「マリ。お前乱暴してはよくないぞ。」

すると、彼女はずるそうに白い眼をひらくと、

「ううん、おれがよくなかった。」

「マリ、お前こん夜俺につきあうか。」

「なんでもよくきく。」

私達は腕をくむと、附近の青天白日旗の飜っている、支那公使館のまえのインタナショナル・バーの酒卓へ座ると、盃をかちあわした。卓子におかれたザシカのクンセイのような扮装をして女達がワルツを踊っていた。女将のアレキサンドラは片隅で亭主の白系露人とポーカーを七枚のカードを並列してやっていた。青い日本服をきた混血児が、なよ/\とした腰に支那人の中学生の腕をからませて踊っていた。もと神戸の元町のボントン・バーにいた、肥太った女がひどく酔って悪臭を放っていた。ロシア人の老人夫婦が、ロシア・クラシック・オペラの一節を弾じはじめた。

ウォッカの酔いがまわると、マリがアレキサンドラの娘をとらえて饒舌りだした。

「おい、ナタリー、おまえおれの女房になってくれ。