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ソヴェトのしばい
ソヴェトの芝居
宮本 百合子
「改造」1931(昭和6)年3、4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,289 字 · 53 页
リャザーノフは第三列目に来ていたのだ。
ベズィメンスキーは、なお二三度、体をかがめて、舞台の上へ誘ったが、リャザーノフは動かない。
あきらめて、ベズィメンスキーは手をあげ、まだやまぬ拍手を制して、自分の云いたいことを喋りだした。
この詩劇は、五ヵ年計画のごく初期、ウダールニクがモスクワにたった十三しか組織されていなかった時に書かれた歴史的な作品であること。欠点があるとすれば、主としてそういう客観的情勢が原因であること。そして、ロシア・プロレタリア作家同盟の機関紙『文学前衛』が十ヵ月もこの作品について沈黙を守っていたことを非難した。
ベズィメンスキーは、雄弁だ。ところが、自分の隣の席に、一人党員らしい若い女が、男の伴れと見物している。男はずっと年上で、黒いルバーシカ着て、金の腕時計をつけている。女の手を自分の手の中にもって、ベズィメンスキーが舞台の上から云っているこなど耳に入れず、女に囁いている。
――ね、一日おのばしよ。私があっちへは電報うってあげるから。――
――いいえ、駄目、不可能なの。
――お前一人じゃないじゃないか、何とかなるよ、ね、おのばしよ、一晩!