轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

チェーホフしろん

チェーホフ試論

神西 清

――チェーホフ序説の一部として――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,618 字 · 41 页

青空文庫

この大旅行はチェーホフの内部に何一つ痕跡を残さなかったからだ。

一八九一年から翌年へかけてヨーロッパ・ロシアの数県を総嘗めにした大飢饉は、社会情勢一変の転機をなしたと言われるほど深刻なものだった。医師として市民としてチェーホフは勿論起ち上った。だがその活動の総計をとって見ると、妙に焦点のないちぐはぐなものになる。時の内務大臣ドゥルノヴォは政治的考慮から、初めのうち救済への私人の発起を抑えて、赤十字や教会の手にこれを一任した。だがトルストイのようながむしゃらな男は、そんなことにへこたれなかった。つい一年ほど前までは、慈善などという姑息な手段を排撃していたこの老人ではあったが、一たん乗り出したとなると、大臣の意向などにはお構いなく、難民への給食事業をぐいぐい実行して行った。このトルストイの「勇敢と権威」は、いたくチェーホフの心を揺すぶった。彼はこの老人を「神のようだ」とまで讃えたが、なんとしてもチェーホフには、善意をそのまま実行に移すための媒介となるべき素朴な情熱が欠けていた。結局のところ彼は何をしたか。難民がついにアカザまで食べはじめたと聞いて、彼はその栄養価についての専門家の意見をひろく募った。