轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

トムきちとほうせき

トム吉と宝石

小川 未明

「日の出 1巻2号」1932(昭和7)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,254 字 · 9 页

青空文庫

「いま、出ていったあの娘だろう。あんな素人をごまかせないということがあるもんか。みんな、おまえが、商売に不熱心だからだ。」

といって、しかりました。

いったい、宝石ばかりは、目のあかるい人でなければ、真物か、偽物か、容易に見分けのつくものでありません。また、性のいいわるいについても同じことです。だから、不正直の商人になると、そこをつけこんで、いい品でもわるいといって、安く買い、わるい品でもいいといって、高く売ったりして、もうけるものです。

トム吉は、こうした、曲がったことをする主人に使われていましたが、かわいそうな娘のようすを見たり、また、その話をきくと、真物を偽物といってごまかされなかったばかりでなく、指輪を売って、弟の病気を快くしようというやさしい情に感心せずにはいられなかったのでした。

しかし、この正直であったことが、禍いとなって、

「おまえみたいなばか者は、私が留守のときには、なんの役にもたつものでない。」

といって、ついにトム吉は、暇を出されてしまいました。

「私にも、やさしい姉さんがあるのだ。」

といって、トム吉は、この町を去って、ごく自分の小さい時分にいたことのある町を指して、旅立ちをしたのであります。