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ドミノのおつげ
ドミノのお告げ
久坂 葉子
「VIKING 17号」1950(昭和25)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,713 字 · 42 页
その晩、私は自分の部屋にいて雑誌をよんでおりました。母と叔母とは隣の部屋で編物をしておりました。二人の会話がきこえて来ます。
「お義姉様。春彦の本代が随分いりますのよ。科学の材料費なんかも。ノートや鉛筆やそんなものも馬鹿になりませんわね」
「本当ね。でも勉強のものだけは十分にしてあげたいわね。雪子にも、たんす一本買ってやれなくて……」
私は苦笑しました。そして襖越しに声をかけました。
「母様、お金はふっては来ませんよ。すわって待ってたって駄目よ何かやらなければ……。売喰いはもう底がみえているし」
「商売でもやるの、出来ませんよ。商売人でない我々がやったら結局損をしてしまうんですよ」
「だって、じゃあ一体、これからどうするつもりなの。何もやらないとしたら、いつまで続くとお思いになるの」
「税金のこともあるんだし、まあ、神様におまかせしてあるんですから。昔、あまりぜいたくした罰だと思わなきゃ。もう少し辛抱していたら又神様がお援け下さいます」
私は云っても無駄だと思いました。父と母とには見栄があるのです。なまじっか商いでもやろうものなら、すぐにこの街中噂がたちます。