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ニュースえいがとしんぶんきじ

ニュース映画と新聞記事

寺田 寅彦

「映画評論」1933(昭和8)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,068 字 · 7 页

青空文庫

こういう意味から言えば、新聞記事に現われた除幕式は純然たる概念的公式的の除幕式であって、甲のものと、乙のものとは人名などの活字面が少しちがうだけであって、どれもこれも具象的内容においては全く同じものである。それだから、記者が列席もしないのに列席したような顔をして書いても少しも不都合はない、午後に行なわれる儀式に関する原稿をその午前に書いて夕刊に出す。それで大臣がさしつかえができて出席しなくても記事にはちゃんと列席して式辞を読んだことになるのである。

新聞記事はこれに限らず、人殺しでも心中でも、皆一定の公式があって、簡単に無理やりにその型にはめ込んで書いてしまうから、どの事件も同じように不合理非常識な概念の化け物でこね上げられたものになっているのは周知の事実である。しかしこれは必ずしもこれらの記事を執筆する個々の記者の責めばかりには帰せられない。少なくもある点までは新聞の社会記事というもの自身に本質的に内在する元来無理な要求から来る自然の結果であるかもしれない。その上にかてて加えて往々記者の認識不足が不合理の上に不自然の上塗りをするのであろう。

映画の場合においてもカメラを向け動かすものは人間であるから、そこに選択の自由があり従って人為的な公式定型の参加する余地は充分にある。