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ニューフェイス

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坂口 安吾

「小説と読物 第三巻第七号」桜菊書院、1948(昭和23)年7月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,479 字 · 25 页

青空文庫

と、彼の頭ににわかに一つの企らみが浮かびあがった。

「この店に働いていたゞければ、それはワタシの光栄なんですが、然しです、御覧のように当店の性質と致しまして、お客様の九分九厘まで御婦人相手のものですから、給仕人も同性の方よりは男の方がよかろうと、三人の大学生を使っているわけなんです。で、当店では、むしろ御婦人の使用人を遠ざける必要があるわけで、残念ですが、やむを得ない次第です。然しですね。ワタシに一つ心当りがあるのです。ワタシの親友の千鳥波という以前相撲だった男が、この町内で、同じ名のトンカツ屋、つまりトンカツで酒をのむ店をやってるのですが、この男が、目下、美人女給をもとめているのです」

「私、ドリンクの店はキライです」

「いえ、ごもっともです。然し、これにはワケがあるんですよ。千鳥波はまだ独身なんですが」

「失礼ね。私が結婚したいとでも考えてるのかしら。おかしいわ。全然、無理解ね。軽蔑するわね」

「左にあらず、左にあらず。はやまってはイケません。一言たゞ独身であるという事実をお伝えしたにすぎません。話の要点はそんなところにはないのですよ。このトンカツ屋は相撲時代からのヒイキがついておりますから、常連のツブがそろっていて、このへんの飲み屋では、最高級の人種が集っているのですよ。