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ネオンよこちょうさつじんじけん

ネオン横丁殺人事件

海野 十三

「アサヒグラフ」1931(昭和6)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,095 字 · 26 页

青空文庫

「だが、同じ逃げるものなら、どうして寝床にぬくぬくと入っていたのでしょう。隠れるところはカーテンの後でも、押入の中でもいくらもありますよ」と帆村は反駁したのだった。

「うん、そいつはこう考えてはどうか。すこし穿ちすぎるが、あの夜、おみねは虫尾の寝床で彼の用事を果すと、この部屋に退いた。爺さん便所に立つときに、隣りの布団をみて(ゆかりの奴、寒がりだから頭から布団をかぶって寝てやがる)と思った。それから再び自分の室に入ると、脅迫状が恐いものだから、厳重に錠をおろして寝た。そこでおみねは、先客の一平が寝ているゆかりの布団へもぐりこんで、午前三時半までいた。それから頃合よしというのであの犯行が始まった。――」

「それにしても午前四時近くの犯行は、すこし遅すぎますよ」

「なあに、一平が脅迫状に寒い日にやっつけると書いた。一日のうちでも一番寒い時刻というのは午前四時ごろだ。で、合っているよ」

「えらいことを課長さんは御存知ですね、一日のうちで午前四時近くが、一番気温が低いなんて。それはそれとして、僕にはどうもぴったりしませんね。もう一つ気になるのは、ドーンとピストルが鳴ってから犯人が逃げだすまでの時間が、十分間ちかくもありましたが、これは犯罪をやった者の行動としては、すこし機敏を欠いていると思うです。