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パーティものがたり

パーティ物語

中谷 宇吉郎

「オール読物」1955(昭和30)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,735 字 · 22 页

青空文庫

そのとおりであるが、これを裏返しにしてみると、同伴の夫人方御自身が、芸者や女給の役割をつとめるという点も、かなりあるのである。

パーティとなると、夫人方は大騒ぎである。なるべく上等のドレスを着て、出来るだけ化粧しこむ。厄介なことには、この階級では、同じ家へ、同じドレスを二度着て行くことはしない、という恐るべき習慣がある。日本でも、一流の芸者は、同じ座敷着を何日もつづけて着ることはないそうだが、それと似た話である。その上洋装の場合は、着物をかえると、色の関係上、ハンド・バッグも靴もかえなければならない場合が多いので、いよいよ恐るべきことになる。

招かれる側よりも、招いた夫人の方が、一層たいへんである。それこそ一番上等のドレスを着て、せいぜい若作りをして、入口のドアのところで、来客とくに男性の方を、にこやかに迎え入れなければならない。もっともそれには、向うは夫人同伴であるから、薄手の嬌態をつくるわけには行かない。かなり高等な技術が要る。亭主の方は、女房のうしろに従いながら、女客のオーバーを受け取り、手袋を脱ぐのを待って、それと一緒にして、奥へ片付ける。