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ファラデーのでん

ファラデーの伝

愛知 敬一

電気学の泰斗

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,305 字 · 153 页

青空文庫

三 手帳

その頃、ファラデーは電磁気の作用の歴史を某雑誌に出しつつあった関係上、それらの実験を繰りかえして試み、これが動機となって、次の実験に成功した。すなわち、下端を水銀の皿に入れ、上端を吊してある針金に、電流を通ずると、中央にある磁極のまわりを廻転し出すということである。また反対に電流の通ずる針金の位置を固定し置けば、磁極の方がそのまわりを廻転する。これがウォーラストンの企てた実験に外ならぬという誤解を生じたのだが、実はウォーラストンのとは全く違った実験なのである。

この実験に成功したのは九月三日のことで、この日の出来事は既に前にも記した通りである。

その十二月には、地球の磁力によりて、電流の通れる針金の廻転することをも確かめ、翌年も引きつづきこの方面の研究に没頭した。

三 手帳

以前からファラデーは種々の本を読んだときに、面白いと思うた事を手帳に書き抜いておったが、この頃からは自分の心に浮んだ考をも書き始めることにした。その中に次のようなのがある。

「磁気を電気に変えること。」

「金属の透明なること。」

「太陽の光を金箔に通すこと。」

「二つの金箔を電気の極にして、その間に光を一方から他方へ通すこと。