轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

「ファン」について

「ファン」について

伊丹 万作

「ムウビイ」1936(昭和11)年1月14日号

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,483 字 · 3 页

青空文庫

零から何万にまで増えてきた数字は、都合によつてまた元の零に減るときがないとはいえないのである。

私は時によつて増えたり減つたりする定めなきものを相手として仕事をする気にはなれないのである。

つまりそこに一人、ここに一人と指して数えられるものは私の目標ではない。

すなわち私の目標は個体としての人間ではなく、全体としての人間性である。

だから私は直接に限られた数のファンとの交渉を持たないかわりに、間接的に無限のファンを持つているのと同じ安心を得ている。

私の持つているこの象徴的なファンは手紙などはくれないが、そのかわり増えたり減つたりは決してしない。

おせじをいつたり、暑中見舞をさしあげたりする必要はなおさらない。

一万、二万と明らかな数字をもつて現わすことは不可能であるがその大きさは無限である。

私が特定のファンを持たず、特定のファンを目標とせず、特定のファンについて何らの思考を費すことなく、しかも何不自由なくその日を送つている理由は右のとおりである。

さてここで問題を別の観点に引きおろして、あらためて見物の質としてのファンを論ずるならば、私は中途半端な、いわゆるファンはあまり感心しない。