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ペスときょうだい

ペスときょうだい

小川 未明

「幼年クラブ」1948(昭和23)年1月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,272 字 · 7 页

青空文庫

弟もじっとしていられずついてくると、ペスもそばへやってきました。

「ペス、お父さんをむかえにいくんだ。」と、太郎は命令しました。

「いくら犬でもわからないだろう。」と、秀吉は反対しました。

兄はそれに耳をかたむけないで、むりにペスを寒いやみの中へおいだしました。赤と白の敏感な毛色の動物は、しばらく、なにを考えるか、吹雪の中でふるえてみえました。

「早くいけ。」と、はらだたしげに兄はいって、手あらく戸をしめたのです。

秀吉が戸をあけたときは、もうペスのかげはそこになかったのです。ただしきりとふる雪が、すきまをもれるともしびにてらされたばかりでした。

「どこへいったかな。ペスはもうおらないよ。」と、秀吉は炉ばたへもどると兄を見ました。兄は下をむいて、黙っていました。

それから三十分もすぎたころです。戸口でだれか雪をはらう音がしました。

「お父さんだ。」と、秀吉は出むかえました。

「ペスはいきませんか。」と、太郎が聞きました。

「いや。どうして。」と、父親はふしぎがりました。

「むりにお父さんをむかえにやったのです。」と、太郎がいいわけしました。

「どの道かわかるまいが、どこへいったかな。