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ペスをさがしに

ペスをさがしに

小川 未明

「児童読物研究」1933(昭和8)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,152 字 · 9 页

青空文庫

「原っぱの方へ、川について、とっとと、いってしまったよ。あっちの、赤い空の中へ、はいっていってしまったよ。」

政ちゃんは、寒い、木枯らしの吹きそうな、晩方の、なんとなく、物悲しい、西空の、夕焼けの色を、目に描いたのです。

「どっちから、ペスが、歩いてきたか、知っている?」と正ちゃんは、政ちゃんに、たずねました。

「市場の方から、歩いてきた。」

「そのとき、ほかの子は、ペス、ペス、と呼ばなかったの。」と達ちゃんがききました。

「呼んだとも、健ちゃんも、徳ちゃんも、呼んだけれど、ペスは、振り向かんでいってしまったよ。」

お母さんも、お姉さんも、政ちゃんの、そういうのをきくと、はたしてペスが帰ってきたのかしらんと考えるようになりました。そして、子供たちの話を、いまは、じっときいていられたのであります。

「おかしいね、あんなに、いつも、走ってきて飛びつくのに、呼んでも、こないのは……。」と、達ちゃんが、頭をかしげました。

「おかしいね。やはり、ペスでは、ないんだろう。」と、正ちゃんがいいました。

「ペスだよ。」

「そんなら、どうして、呼んでもこなかったのだい、政ちゃんにわかる?」