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かぜのまたさぶろう

ポラーノの広場

宮沢 賢治

宮沢賢治『ポラーノの広場』。同一底本的分册已合并为一书。收入:風野又三郎、タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった、ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記、若い木霊。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 67,062 字 · 135 页

青空文庫

えらいだろう。ところが僕たちのかけて行ったときはそんなにゆっくりしてはいなかった。みんな若いものばかりだからどうしても急ぐんだ。

『ここの下はハワイになっているよ。』なんて誰か叫ぶものもあるねえ、どんどんどんどん僕たちは急ぐだろう。にわかにポーッと霧の出ることがあるだろう。お前たちはそれがみんな水玉だと考えるだろう。そうじゃない、みんな小さな小さな氷のかけらなんだよ、顕微鏡で見たらもういくらすきとおって尖っているか知れやしない。

そんな旅を何日も何日もつづけるんだ。

ずいぶん美しいこともあるし淋しいこともある。雲なんかほんとうに奇麗なことがあるよ。」

「赤くてが。」耕一がたずねました。

「いいや、赤くはないよ。雲の赤くなるのは戻りさ。南極か北極へ向いて上の方をどんどん行くときは雲なんか赤かぁないんだよ。赤かぁないんだけれど、それあ美しいよ。ごく淡いいろの虹のように見えるときもあるしねえ、いろいろなんだ。

だんだん行くだろう。そのうちに僕たちは大分低く下っていることに気がつくよ。

夜がぼんやりうすあかるくてそして大へんみじかくなる。ふっと気がついて見るともう北極圏に入っているんだ。