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マクシム・ゴーリキイのでんき
マクシム・ゴーリキイの伝記
宮本 百合子
幼年時代・少年時代・青年時代
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 60,543 字 · 120 页
ロマーシは遂にクラスノヴィードヴォを去った。ゴーリキイは、この別離から深い哀愁をうけた。
「また会おう、友達!」
そう云って別れたロマーシとゴーリキイが再会したのはそれから十五年後、ロマーシが「民衆の意志」党の事件でヤクーツクで更に十年の流刑を終ってからのことであった。
秋になってから、ゴーリキイは村を去りカスピ海の岸「汚いカルムイッツの漁場、カバンクール・バイの漁師の小さい組合に入ることが出来た」のであった。
クラスノヴィードヴォの農村生活に於けるこれらの強烈な経験の描写は、「私の大学」の中で芸術的に優れた部分をなしているばかりでなく、私共の特別な興味を唆る点は、このゴーリキイによって描かれた農村生活の数十頁が、歴史的にはツルゲーネフの「処女地」とショーロホフの「開かれた処女地」との間をつなぐ社会的事情を反映していることである。「処女地」は知られているとおりナロードニキの活動の高揚期を捕え、インテリゲンツィアの側から、若き先進者たちの内的矛盾を描きつつ農村を観察して行った作品である。農民はここでは一様に、灰色なものとして現れている。無知、狡智の錯綜が、一般性においてとりあげられている。