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マクシム・ゴーリキイのでんき
マクシム・ゴーリキイの伝記
宮本 百合子
幼年時代・少年時代・青年時代
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 60,543 字 · 120 页
祖母は殆ど毎朝、新しい賞讚の言葉を発見した。そしてそれが小さいゴーリキイの心に快い緊張をよび醒した。言葉の流れる温い美しさ、真実のこもった単純な心から賞讚にじっと聴きいるのは心持よかった。
ゴーリキイは「非常に早くから祖父はある神をもっており、祖母は又別の神をもっていることを理解した。」緑色の鋭い賢い眼をした祖父の神は、常に人間の誤ちに目をとめていて、それを罰したり、こらしめたりするのが仕事の、威嚇的な形式的な神であった。祖父から朝夕の祈祷をおそわって、しっかり覚え込んでいたゴーリキイは、体を振り、甲高い声で祖父が祈るのを聞いていた。そして「祖父が間違えはしまいか、一言でも抜かしはしまいか?」と一生懸命跡をつける。たまにそういうことがあると、ゴーリキイの心に「人の失敗を喜ぶ意地のわるい感情を呼び醒した。」
「お祖父さん、今日は『満たすものなり』を抜かしたよ」
「嘘だろう?」不安そうに疑りぶかく祖父は訊いた。
「抜かしたんだよ!」
ゴーリキイは宙で祖父が忘れた祈祷のきまり文句をとなえる。祖父は極りわるそうに瞬きしながらゴーリキイの記憶のよさを褒めた。やがて祖父さんは、こういう揚足とりに対しては何かできっとこっぴどくゴーリキイに仕返しをするのであったが、暫くでも祖父さんをまごつかせたことで、ゴーリキイは「凱歌を