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マクシム・ゴーリキイのはってんのとくしつ

マクシム・ゴーリキイの発展の特質

宮本 百合子

「改造」1936(昭和11)年8月臨時特大号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,694 字 · 33 页

青空文庫

」をとっていることをも感じずにはいられない。夕方の六時から真夜中まで働き、昼は寝、捏粉の発酵するのを待つ間とパンが炉の中で焼けるのを待つ間しかゴーリキイは本が読めなかった。書けなかった。彼はその間でしばしば考えた。「一体、俺はこれからどうなるのだろう。」

この重い時期に、彼にとって生活の明るさと愛の源泉であった祖母が死んだ。だが、その悲しみを語り、優しい思い出を話す対手は一人も彼の周囲にはいない。巡査が鳶のようにゴーリキイのまわりをめぐり始めた。

学生の集りへ出かけても、本読みは退屈なほど長くつづき、生来論争の好きでないゴーリキイには「興奮した思想の気まぐれな飛躍を追うことが困難であり」、いつも論争者の自愛心が彼をいら立たせるのであった。

今日の歴史によって顧れば、ゴーリキイにとって苦しかったこの一八八〇年代の後半は、ちょうどロシアの解放運動が一転期に際した時代であった。以前の「人民の意志」団が分裂して、新たな「労働解放団」などが生れた時代であり、プレハーノフの書いた「我等の対立」などが、ゴーリキイの出る学生の集りでも読まれ、討論された。しかし、歴史的な意味でも若かったこれ等の学生達は、「加工を必要とする素材」