轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
マリア・バシュキルツェフのにっき
マリア・バシュキルツェフの日記
宮本 百合子
「新女苑」1937(昭和12)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,569 字 · 24 页
もし早死をしなかったら私は大芸術家として生きたい。しかし、もし早死をしたらば私のこの日記を発表してほしい。」「もしこの書が正確な、絶対な、厳正な真実でないならば、存在価値はない。私はいつもただ私の考えているだけのことをいうのみではなく、またあるいは私を滑稽に見せるかもしれず私の不利益となるかもしれぬことをかくそうと思ったことはなかった。」
若いマリアにとって日記を書く最後となったこの一八八四年の五月一日午後は、丁度彼女が男の名前で「出あい」を出品したサロンの入賞と陳列の位置とがきまる前後で、マリアは、大変わくわくしている。四月三十日にサロンの初日に出かけ、新聞の批評に気を揉み、あるいは会場で自分の絵を眺めている大勢の人々を長椅子にかけて見物しながら「それらのすべての人たちが、きちんと恰好よく靴をはいた、実に可憐な足を示しながらそこにそうして坐っている美しい少女が、その画の作者であることを決して知ろうともしないであろうと考えて、笑ったり」している。しかし何か不安が心の中にあって彼女を落付かせぬ。自分が死んだら、何にものこらなくなる。この考えが彼女を恐れさす。