轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

モノグラム

モノグラム

江戸川 乱歩

「新小説」春陽堂、1926(大正15)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,034 字 · 22 页

青空文庫

分って。どうしたのでしょうね。学校の修学旅行で日光に行った時、途中で盗まれて了ったつもりでいたのに」

という訳です。お分りでしょう。つまりその懐中鏡は私が甘くも信じ切っていたすみ子のではなくて、私のヒステリィ女房のお園のものだったのです。園もすみも頭字は同じSで、飛んだ思い違いをした訳です。それにしても、お園の持物がどうしてすみ子の所にあったか、そこがどうも、よく分りません。で、色々と家内に問い訊して見ました所、結局こういうことが判明したのです。

家内が云いますには、その修学旅行の折、懐中鏡は財布などと一緒に、手提の中へ入れて持っていたのを、途中の宿屋で、誰かに盗まれて了った。それがどうも、同じ生徒仲間らしかったというのです。私も仕方なく、すみ子の弟との邂逅のことを打開けたのですが、すると家内は、それじゃこれはすみ子さんが盗んだのに相違ない。あなたなんか知るまいけれど、すみ子さんの手癖の悪いことは級中でも誰知らぬ者もない程だったから、じゃきっとあの人だわと云うのです。

この家内の言葉が、出鱈目や感違いでなかった証拠には、その時にはもう抜き出してなくなっていた、鏡の裏の私の写真のことを覚えていました。