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ヤミろんご

ヤミ論語

坂口 安吾

「世界日報 第五五二号~第六九二号」1948(昭和23)年2月23日~7月12日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,308 字 · 36 页

青空文庫

将棋の不振のころは、碁の方がまだしも呉、木谷ら新人の活躍で大衆の注目をあつめていたが、目下はサンタンたるもの。それも当然のことで、本因坊戦などという一家名を争うなどとは滑稽奇怪というほかはない。家名が意味を失った時代ではないか。

実力第一の呉清源をはぶいて、手合を争ったところで仕方がない。呉を加えて名人戦をやるべし。名人位を中国に持ってかれてもよいではないか。

他の異国のスポーツにおいては、各々異国の名人位に挑戦しようとしているのである。碁の初代名人が中国にとられる。おのずから、碁の世界化ではないか。実力なければ仕方がない。ケチな根性をすて、むしろ碁の世界化をめざして呉を加え、坂田、梶原を加えて、名人戦を行うべき時代であろう。

大衆は正直なものであるから真に興味を惹かれるものにだけ、惹かれるだけの話だ。エロにまさる他の充実した興味がなければ、エロの流行も仕方がない。エロのボクメツとはムリで、他の充実した何ものかが必要なだけだ。高級にして充実した興味の対象が現れゝば、エロは自然に場末へ追いやられる。エロの禁止は逆効果を現すばかり、自然に場末へ追いやられたとき、大衆の生活は健全となっているのである。