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ラジオざっかん
ラジオ雑感
寺田 寅彦
「日本放送協会『調査時報』」1933(昭和8)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,067 字 · 11 页
これと同じような聯想作用に関係しているためかと思われるのは、例えば落語とか浪花節とかを宅のラジオで聞くと、それがなんとなくはなはだ不自然な、あるまじきものに聞こえて困ることである。それらの演芸の声だけでなくて演芸者自身がその声にくっついて忽然として自分の家庭に侵入して来るように感じる。そういう人達が突然自分の家の茶の間へ飛込んで来て、遠慮もなく大声を揚げて怒鳴っているような気がしてはなはだ不自然な感じがするのである。しかししばらく我慢して聞いていると、そういう感じはいつの間にか消滅して、今度は自分の方が寄席の方へ「行ってしまう」から、そうなればもう不自然な感じはなくなってしまうのである。しかし家庭の日常生活の中へ突然に、全く不連続的にそういう異分子が飛込んで来るときに、われわれはやはりそういうちぐはぐを感じない訳には行かないであろう。もっとも従来蓄音機などで始終こういうものに馴れていれば何でもないであろうが、自分の場合はそうでもなく、またラジオでそういうものを聞く回数がきわめて稀なためであるに相違ない。これが西洋音楽だとちっともそういう気持はしないのである。