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リズムのこうぞう
リズムの構造
中井 正一
「美・批評」1932(昭和7)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,957 字 · 16 页
今のいずれの思想がその傷めるものを嗣がないといえよう。
存在論的考察の内面には、その鋭き視点の貫きにもかかわらず、いいしれぬ戦後的思想がその背後を覆うている。塹壕の臭いがする。
瞬間への信仰的な愛着。執拗な個人性への付着。はかない偶然性への戯れの驚き。かかるものがすることのなくなった個人主義文化の美しい幻である。
かかる瞬間性と個人性と偶然性は、その最もよき組みあわせを恋愛の姿においてもっている。愛のたわむれ、心中のもつ気紛れ、そこにブルジョワジーの美しい夢と華がある。リズムもそのコンビネーションの一つの姿としてあらわれる。存在論的リズムの解釈はその様式と共にかかる一点に凝集する。その美しさはその様式の美しさであり、その醜さはその様式の醜さである。リズムならびに韻律はかかる文化形態においては、かかる様式のもとに構造をもつ。そこでは自然と肉体現象の反復を邂逅のもつ美しさとして理解する。宇宙的さまよいの、永遠の虚無の中に、二つのものが同一であることのもつ欣び、その偶然のもつ輝かしさ、瞬間のもつおごそかさ、他のものでなくそれが自分であることの尊さ、そこに韻律とリズムのもつ美しさがあるのである。