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ルルとミミ

ルルとミミ

とだ けん

「九州日報」1926(大正15)年3~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,628 字 · 24 页

青空文庫

露に濡れた草原を踏みわけて、お寺の方へ来ました。そうして鐘撞き堂まで来ると、空高く月の光りに輝いている鐘を見上げました。

「あの鐘を撞いて見ましょう。あの鐘が鳴ったなら、睡蓮が教えたことはほんとうでしょう。湖の底の御殿もあるのでしょう。女王様のお言葉もほんとうでしょう。お兄さまもほんとうにあそこで待っていらっしゃるでしょう。……あの鐘を撞いてみましょう……」

ミミが撞いた鐘の音は、大空高く高くお月様まで……野原を遠く遠く世界の涯まで……そうして、湖の底深く深く女王様の耳まで届くくらい澄み渡って響きました。

お寺の坊さんも、村の人々も、子供までも、みな眼をさましたほど、美しい、清らかな音が響き渡りました。

ミミは夢中になって喜びながら、お寺の鐘撞き堂を駈け降りました。

「ああ……夢ではなかった。夢ではなかった。お兄様はほんとうに湖の底に待っていらっしゃる。

妾が来るのを待っていらっしゃる。

ああ、嬉しい。ああ、嬉しい。妾はもうほんとうにお兄様に会えます。そうして、もう二度と再び離れるようなことはないのです。ああ、うれしい……」

こう云ううちに、ミミは最前の花の鎖のところまで駈けもどって来ました。