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レーリーきょう(ロード レーリー)

レーリー卿(Lord Rayleigh)

寺田 寅彦

「岩波講座 物理学及び科学」岩波書店、1930(昭和5)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,439 字 · 55 页

青空文庫

しかしレーリーはこれだけでは満足せずに、更にロレンツ(Lorenz)の方法によってやり直しをして、その結果を確かめた。結局三年かかって得た彼の結果は、その後多数の優秀な学者によって繰返された測定によっても事実上なんらの開きを生じなかった。

次にはアンペーアの測定にかかった。この際クラーク電池の長所を認めていわゆるH型のものを工夫した。レーリーの定めたこの電池の e. m. f. の価もその後の時の試煉に堪えたのである。

電気単位に関する国際的会議のいきさつはここには略するが、この問題に関してレーリーの仕事が重要な要石となったことは明らかである。

彼の指導を受けていたジェー・ジェー・タムソンが引続いて e. s. u. と e. m. u. との比を測定することにかかった。タムソンの仕事ぶりを見ていたレーリーは、“Thomson rather ran away with it.”と云って一切をこの若者の手に任せてしまった。後進の能力を認めこれに信頼することの出来ない大御所的大家ではなかったのである。

ケンブリッジ在職中の私生活も吾々にはなかなか興味がある。