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ロボットとベッドのじゅうりょう

ロボットとベッドの重量

直木 三十五

「新青年」博文館、1931(昭和6)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,963 字 · 18 页

青空文庫

」

「じゃ、僕とは――」

「………………………………。」

「二週間という約束でしたから、僕は――」

「憶えているわ。五時って。」

「それに――」

「五時二十分に来たでしょう。ロボさんなら、五時が、一つ、二つ打った時、ノックするわよ。」

「恋愛にさえ、ロボ助が、勝つようになっては、人類の最後ですね。」

「ええ、生殺与奪は、女性の手へ、戻ってきた訳ね。」

「そうらしいです。」

男は、立上った。そして、扉を開けて、次の部屋へ入った。その右側には、新らしい、レーヨンの色彩的な、日本的パジャマをきたロボットが、微笑んでいた。男は、じっと、眺めて、

「ロボ助。」と、いった。

「は――」ロボが、答えた。

「奥さん、ロボ助っても、通じますね。」

夫人は、薄絹の下の、彩色した身体を、歩ませながら、

「ロボ、だけは通じます。」

「君は、夫人を、愛しているか。」

「は。」

男は、ロボの顔を凝視していた。夫人が、

「愛という言葉も判るわ。」

「そういう単語は、返事ができるんですね。」

「簡単な、恋愛用語だけは――」

「蹴飛ばしてやろうか。」

ロボットは、黙っていた。男は、ロボットが、返事もしないで、微笑しているのを見ると、自分が、蹴飛ばされそうな気がした。