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ロボットとベッドのじゅうりょう
ロボットとベッドの重量
直木 三十五
「新青年」博文館、1931(昭和6)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,963 字 · 18 页
「俺は、そういうように、特種な設計をしておいたんだ。」
「嫌、嫌。」
夫人は、椅子から立上った。そして、扉の方を見た。扉の傍に、精巧な、軽金属製のロボット――侵入者を防ぐためのロボットが、冷かに立っていた。青い服を着て、手袋をはめて、パリから来た、一九三六年型の、パリ女の好みの顔立をして、じっと、夫人を眺めていた。
二
俊太郎は、ベッドの上へ起上った。湿おいの、無くなった眼、眼瞼の周囲に、薄暗く滲出している死の影、尖った頬骨、太くせり出したこめかみの血管――そんなものが、青磁色の電燈カバーに、気味悪く照し出されていた。
その、ベッドの側に、合成アルミニュームのロボットが人体と――肌と、同じように巧妙に塗料を施されたゴムを密着して、裸体のまま突立っていた。それは、俊太郎が、ロボットを、どれだけ、人間に近づけ得るか、という研究の対象物となっていた物で、ゴムの厚さ、薄さ、その硬軟の度合が巧妙に、アルミニュームの支柱を蓋うていて、その眼は、廻転をするし、その眼瞼は開閉するし、口、それから発音、歩行、物の把握――それらの動作は、殆ど人間とちがわなかった。