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ロボットとベッドのじゅうりょう
ロボットとベッドの重量
直木 三十五
「新青年」博文館、1931(昭和6)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,963 字 · 18 页
俊太郎は、少し口を開いて、時々、肩で、呼吸をしながら、狂的な空虚な眼を光らせて、ピンセットで、誘導線を直したり、スイッチを捻って、ベアリングの運動を試めしたり――そして、
「これが、第一の贈物。」
と、呟いた。それから、暫く、眼を閉じて、疲労を休めてから、腹部の蓋を閉じて、静かに、ロボットを抱き上げた。足部は、重かったが、桐のように軽るいロボットは、俊太郎のベッドの上へ、横になった。俊太郎は、水差から水をのんで、ロボットを、うつ伏せにして、枕元のベルを押した。
「はい。」
次の部屋から、看護婦が返事をして、すぐ、扉を開けて出てきた。そして、ロボットを見ると、
「あら。」
それは、動いてはならぬ病人の不謹慎さを叱責する声であった。俊太郎は、険しい眼をして、
「ここへ、一寸、腰をかけて。」
ベッドを、指した。
「お起きになっては、御身体に、大変さわりますよ。」
「ここへ、かけてくれ給え。」
そういって、俊太郎は、ベッドの中へ、入った。看護婦が毛布を着せた。
「かけ給えったら。」
「かけるだけでございますか。」
女は、ベッドの端で、いった。俊太郎は、頷いた。そしてロボットを見ていた。