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ウィタ・セクスアリス
ヰタ・セクスアリス
「昴」1909(明治42)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,941 字 · 119 页
自分は性欲の虎を馴らして抑えている。羅漢に跋陀羅というのがある。馴れた虎を傍に寝かして置いている。童子がその虎を怖れている。Bhadra とは賢者の義である。あの虎は性欲の象徴かも知れない。只馴らしてあるだけで、虎の怖るべき威は衰えてはいないのである。
金井君はこう思い直して、静に巻の首から読み返して見た。そして結末まで読んだときには、夜はいよいよ更けて、雨はいつの間にか止んでいた。樋の口から石に落ちる点滴が、長い間を置いて、磬を打つような響をさせている。
さて読んでしまった処で、これが世間に出されようかと思った。それはむつかしい。人の皆行うことで人の皆言わないことがある。Prudery に支配せられている教育界に、自分も籍を置いているからは、それはむつかしい。そんなら何気なしに我子に読ませることが出来ようか。それは読ませて読ませられないこともあるまい。しかしこれを読んだ子の心に現われる効果は、予め測り知ることが出来ない。若しこれを読んだ子が父のようになったら、どうであろう。それが幸か不幸か。それも分らない。Dehmel が詩の句に、「彼に服従するな、彼に服従するな」