轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

せんきゅうひゃくさんじゅうしちねんをおくるにほん

一九三七年を送る日本

戸坂 潤

「改造」改造社、1937(昭和12)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,500 字 · 23 页

青空文庫

政府や自治体の声明とか発表とかは、勿論社会の公式な自己表現である。その社会がそういう声明や発表を公式にやらねばならぬということが、取りも直さずその社会の重大な実質の一つであり特色の一つに他ならない。だからそれが必ずしも嘘とは限らない。儀礼というものは抑々そういう性質の真実性を有っている。こういうものも世論でないとは云えない。だが又、公式には到底発現出来ないような併し周知の潜在的見解が、であるから真実でないなどと云うことは出来ない。公的には世間の表面には現われないような一種の「世論」というものも、大いにあるのである。公式には現われないから、私語となり囁きとなり又は「奴隷の言葉」となってしか現われないのを普通とする。もしくは形のない或る一種の世の中の空気として実感される。流言や飛語の母体は正にここにある。

日本の国民代表が日本の世論を代表して、アメリカやイギリスへ日本の所信を説得に出かけるとする。宣伝は大いに結構である。処でこの代表者達は日本の社会のどういう種類の「世論」を代表するのだろうか、とすぐそういうことが私には疑問になる。日本政府の対外的声明や発表は勿論公式言論であるが、それでも不足だというので出かける民間代表は、では日本国民の潜在的世論をでも説くわけだろうか。