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せんきゅうひゃくさんじゅうしちねんをおくるにほん
一九三七年を送る日本
戸坂 潤
「改造」改造社、1937(昭和12)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,500 字 · 23 页
かくて一九三七年の日本は下半期に這入る。
この間にあって、軍事的勢力の社会機構上に占める位置は一歩一歩高まりつつあったことは今云った通りだが、併し社会機構上の確保は必ずしも社会全体に於ける夫を意味するとは限らない。すでに政治意識になると、却って一応は露骨な形態を抑えねばならなかったことをさっき述べた。ましてこの勢力に対する社会意識や社会的信用や又文化的信頼に至っては、決してそう楽観すべきものではなかった。本年度上半期のこの社会意識上の不自由は、早晩清算されて行くに相違ないとも考えられたが併し又逆に、やがて之が或る程度のブレーキを政界や経済界にも利かせ得るようになるのではないかとも考えられた。軍事予算と並行して社会政策予算要求の声は、即ち広義国防の声は、近衛内閣の社会正義の声明となったとも考えられた。社会保健省案の成立は、ともかく非常時日本ファシズムが、その相当可能な一つの属性としての「社会政策」に乗り出すことをも暗示した。国内相剋の止揚も亦、之を積極的に民主的に理解すれば、このことを意味するかも知れないとさえ考えられた。こうした批判的な社会イデオロギーは、北支工作その他の活動に対する過度の期待からの反作用と一緒になって、軍事予算の急遽な膨張に対する拍手にも拘らず、それと対蹠的な心理をおのずから醸し出して