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せんきゅうひゃくにじゅうしちねんはるより

一九二七年春より

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,982 字 · 21 页

青空文庫

都会の公園

日比谷公園 六月二十七日

○梅雨らしく小雨のふったり上ったりする午後、

○池、柳、鶴

ペリカン――毛がぬけて薄赤い肌の色が見える首、

○ただ一かわの樹木と鉄柵で内幸町の通りと遮断され 木の間から黄色い電車、緑色の水瓜のようなバス、自動車がとび過るのが見ゆ

○プラタナスの下のベンチ

緑色のコートをきた女、断髪の女とかけて居る。断髪の方の髪の工合をコートがなおしてやって居る

通行人

ポートフォリオを抱えた爺、学生、アルパカの上っぱりをきた職人、若い女――浴衣、すあし、唐人まげ 特に若い女断髪の方をしきりに見てゆく

男却って感情あらわさず

女皆 おや、何とか何とか思ってすぐ。

日比谷交叉点

十文字に馳る電車、赤い旗、青旗

白ズボンに赤すじの入った洋袴をつけた海軍軍楽隊の男が、三人ぬかるみをとびこえ公園に入った。公園の入口にはウインネッケ彗星大歓迎会 音楽と映画の夕べと云う立て札が出て居る。

円たく、パッカード、セダンの硝子扉の中に白粉をつけた娘の頸足が見える。赤い毛糸帽が自転車でとぶ。

荷馬車が二台ヨードをとる海藻をのせて横切る。