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せんきゅうひゃくにじゅうくねんいちがつ――にがつ
一九二九年一月――二月
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,457 字 · 23 页
月給四十留(ホテルのゴルニーチナヤは四十二留五十哥だ)
50人に対して一人のフェルシンニッツア、体温計、その中に一本いつも三度低いのをもってかけ廻る。
ニャーニカは大体親切だ。けれども、彼女達の話すアクセントを一度きいたら 彼女達の踵にはどんなに田舎の泥がしみ込んで居るか。敏捷とか 医学的教養とかからはどんなに遠い婆さん達であるかを感じるだろう。
故に、病院へ入ってもモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)に於て、病人は決して聖ルカに於てのように日常生活のデテールまでを人まかせにしてしまった安らかな快感は味えない。ニャーニカ達は、私が毎朝茶に牛乳を入れてのむという習慣を決して記憶しない。彼女等の頭は恒に新しい。
――そこの卓子に牛乳の瓶があるでしょう。コップへ半分ばかり温めて頂戴 私はお茶を牛乳とのむんだから――
お茶は戸棚に入ってる
モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)では まだ、身動きの出来ぬ病人はよごれて寝て居ても当人やニャーニカの恥辱にはならぬ、寛容があるらしい。午前七時に当直のニャーニカが入って来て手拭の端をぴしょぴしょ濡してくれる。