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ひとつぼかん

一坪館

海野 十三

未詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,902 字 · 56 页

青空文庫

しかし煙草はすぐ売切れになってしまうので、雑誌と本の店を開いた。

源一の花店は、十一階へ移った。

「源どん。一坪館、りっぱになった。これで君は満足したか」

ある日、ヘーイ少佐がたずねて来て、笑いながら源一にきいた。

すると源一は、首を横にふった。

「まだまだ、満足しません。もっと大きなものを作りたいんです」

「ひゅウ」少佐は口笛をふいて、おどろいてみせた。

「これ以上大きな家ができるとは思わない」

二十年後

「ヘーイさん。ぼくの夢をここに図面にしてかいておきました。これを見て下さい」

源一は、そういってヘーイ少佐の前に、図面をひろげてみせた。

「わははは。これはいったい何ですか」

ふだんは落ちつきはらっている少佐が、ひどくおどろいて、図面の前に頭をふった。

そうでもあろう。その図面には、大きな飛行場がかいてあったのだ。

もっともその飛行場は、大地の上にあるものではなく、高架式になっているのだ。つまり、飛行場の下に、大建築物の並んだ近代都市が見えるのだ。飛行場は高架式で、源一の図面によれば百四十四本の支柱でささえられていた。

その支柱は、約五十メートルの高さがあり、そして互いにビームで枠形に組み合っていた。