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まんのし

万の死

小川 未明

「新児童文化 第4冊」1949(昭和24)年11月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,457 字 · 9 页

青空文庫

「どうも、このごろの万はおかしい。はっきりとはいえぬが、ばくちをするんでないかな。」と、一人が、分別ありげに頭をかしげると、

「いや、あの堅い男にかぎって、ばくちはしまい。それにしてもおかしいことだ。もうちっと、だまってようすを見ていよう。」

「おまえさんのところから、いくら借りたんだね。」

「なに、たいした金でない。それだけおかしいのさ。返そうと思えば、いつだって返せるのを……。」

こうして、万について話をする人たちは、いずれも村で金のある地主とか、物持ちとして知られてる人々でした。これを見ても、万は、金を借りるのに、金のありそうな人たちだけをねらったものとみえました。このことは、その日その日を働いて暮らさなければならぬものには、どういう事情があっても、万は、無心をたのむ気になれなかったのでしょう。それであるから、万は、だんだん金持ちからきらわれるようになったのもしかたがありません。しかし、彼の勤勉な生活ぶりは、だれの目にも、いままでと変わったとは見えませんでした。

その日も、万は役場から帰ると、すぐ山へたきぎを取りに出かけました。うす寒い、雨もよいの日で、彼は暗くなってから、雨にぬれながら、重い荷を負って家へもどりました。