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みっつのかぎ

三つのかぎ

小川 未明

「赤い鳥」1925(大正14)年12月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,988 字 · 11 页

青空文庫

月のいい晩には、その笛の音は近くに聞こえてきました。曇った夜には、その笛の音は遠くになって聞かれました。そして、あらしの晩には、まったく聞こえないことすらもあったのです。

ある夜、彼は、いつものごとく岩の上にたたずんで耳を傾けていました。明るいよい月夜なのにもかかわらず、笛の音がきこえてきませんでした。どうしたのだろうと、彼は思っていました。そして、ただ聞こえるものは、打ち寄せる波のひびきだけであって、笛の音はきこえてきませんでした。おそらく、それは永久に聞かれないもののようにすら、なんとなく思われたのであります。

このとき、砂の中にうずもれている光ったものに、彼の目はとまりました。海の中から、波がそこに打ち上げたものでした。彼は、それがなんだろうと思って拾い上げると、金色のかぎでありました。このかぎが浜に上がった日から、笛の音のやんだことを不思議とも思いました。もしや、人魚がこのかぎを自分に授けてくれて、なにかまだこの世に発見せられない、隠された箱を開かせるためではないかと考えました。彼は、そのかぎを持って家に帰りました。

三人の男は、べつべつにかぎを持って、この世の中に隠されている宝の箱を探して歩いたのであります。