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さんりょうせいべえとめいばあさづき
三両清兵衛と名馬朝月
安藤 盛
「少年倶楽部」講談社、1931(昭和6)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,144 字 · 17 页
友人たちは、骨と皮ばかりの馬を、清兵衛が買ってきたのでおどろいた。
「これは、朝月でなくて、やせ月だ」
そして、
「清兵衛、この名馬はどこで手に入れた」と、からかい半分にきいたりしようものなら、
「ほう、おぬしにもこれが名馬だとわかるか」
清兵衛は得意になって、朝月を見つけた話をきかせたうえ、
「これが三両で手にはいったのだ、たった三両だよ」とつけくわえる。
その様子があまりまじめなので、あきれかえった友だちは、しまいには、ひやかすのをやめたが、いつしか三両でやせ馬を買ったというところから「三両清兵衛」のあだなをつけられてしまった。
清兵衛は、そんなことにはすこしもかまわず、自分は食うものも、食わないようにして、馬にだけ大豆や、大麦などのごちそうを食わせた。朝月は主人清兵衛の心がよくわかったとみえ、そのいうことをききわけた。そして、しだいに肥え太ってきた。このことが、宍戸備前守の耳に入ると、
「清兵衛のような貧乏な者が、馬をもとめたとは、あっぱれな心がけ、武士はそうありたいものだ」
と、さっそくおほめのことばとともに、金五十両をあたえられた。
清兵衛は、この金を頂戴すると、第一に新しいうまやを建てた。