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さんにんのそうせいじ

三人の双生児

海野 十三

「新青年」1934(昭和9)年9、10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 页

青空文庫

女史が事件後、真先にその水を明けに行ったのも肯かれるネ」

妾はただ呆れて聞いているより外なかった。

「ところで真一君だが、あれは紛れもなく君の同胞だ。『三人の双生児』の説明は、後で詳しく云うけれど、とにかく亡くなった君たちの母親は、真一と君とを生んだのに違いない。これは徳島に隠棲しているその時の産婆の平井お梅というのを探しだして聞きだしたのだ。書いて貰ってきたものもあるから、後でゆっくり見るがいい。ただし、君と真一とは、あのよく似ていて瓜二つという一卵性双生児ではなくて、すこし顔の違ってくる二卵性双生児であったことは、君にもよく分るだろう。しかしまだその上に、恐ろしい因縁話があるのだ」

と云って貞雄は茶碗からゴクリと番茶を飲んだ。

「君と真一君が、双生児にしては余り似ていないことを不思議に思うだろうが、そこに重大な謎が横たわっているのだ。このところをよく分って貰いたいが、実は君たちは双生児であって、その卵細胞は同じ母親のものながら、その精虫を供給した父親が違っていたのだ。いいかネ、分るだろうか。――つまり、ハッキリ云うと、真一君を生じた精虫は君の亡くなった父親のものであり、それから君を生じた精虫は、実に僕の父親である赤沢常造のものだったんだ。