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さんにんのそうせいじ

三人の双生児

海野 十三

「新青年」1934(昭和9)年9、10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 页

青空文庫

そこで僕は学問のためと君の願いのため、僕の精虫を君の卵子の上に植えつけてみたのだ。その結果……」

「おお、その結果というと……」

妾はハッと思った。

「その結果は、果然僕の考えていたとおりだ。僕は偉大なる遺伝の法則を発見したのだ。すなわち君がいま胎内に宿している胎児は、果然真一真二のような両頭児なのだよ。レントゲン線が明かにそれを示して呉れたところだ」

「ああ、双頭児ですって?」

妾は気が変になりそうだ。

「僕の研究は一段落ついた。で、この上は君の希望を聞いてみたいと思う。その双頭児をこれから大学の病院で流産させてしまおうと思うのだがネ」

「ええどうぞ、そうして下さい。是非そうして下さい。妾は親となって育てるのはいやです」

と喚き散らした。

そこで妾たちは、大学の医学部教室へ入った。

「ほら、これが真二の首だよ」

そういって貞雄は硝子瓶の中にアルコール漬けになった塊を指した。妾はそれを覗いた。

「ああ、あの子だ」

それは確かに、妾の記憶にある懐しい幼馴染の顔だった。実になんという奇しき対面であろう。色こそ褪せて居るけれど、彼の長く伸びた頭髪は、可愛いカンカンに結って、その先に色を失った三つのリボンが静かにアルコールの中に浸っていた。