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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
あなたの立っているところが、昔の銀座四丁目の辻のあったところです」
「うそでしょう。……おやおや、妙な塔がある。それから土まんじゅうみたいなものが、あちこちにありますね。あれは何ですか」
林と草原の間に、妙にねじれた塔や、低い緑色の鍋をふせたようなものが見える。
「あのまるいものは、住宅の屋上になっています。塔は、原子弾が近づくのを監視している警戒塔です。すべて原子弾を警戒して、こんな銀座風景になったのです。みんな地下に住んでいます。ときどきものずきな者が、こうして地上に出て散歩するくらいです。おどろきましたか」
正吉はたしかにおどろいた。あのにぎやかな銀座風景は、今は全く地上から姿をけしてしまったのだ。
近づく星人
「まだ、戦争をする国があるんですか」
正吉少年は、ふしぎでたまらないという顔つきで、案内人のカニザワ区長にきいた。
「やあ、そのことですがね、まず戦争はもうしないことにきめたようです」
「戦争をするもしないも日本は戦争放棄をしているんだから、日本から戦争をしかけるはずはないんでしょう。もっともこれは今から三十何年もむかしの話でしたがね」
正吉はあのころ新憲法ができて、それには戦争放棄がきめられたことをよくおぼえていた。