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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
いったい、どんな塵だと思っていらっしゃるの」
「さあ」
正吉はそこまでたずねられると返答に困った。
「宇宙の塵というんだから、つまり宇宙旅行中に遭難してこわれたロケット艇なんかの破片や、その中からとび出した人間の死骸や机や、イスや、そんなものが塵みたいになっているのを指していうのでしょう」
「いいえ、ちがいますわ。宇宙塵というのは宇宙をとんでいる星のかけらのことです。つまり隕石も宇宙をとんでいるときは宇宙塵といえるわけです」
「ああ、そうか。なるほど宇宙の塵ですね」
「火星のまわりをとりまいている宇宙塵は、隕石の集まりではなく、大昔に火星のまわりをまわっていた火星の衛星の一つがこわれたものだともいわれ、また、そうではなくて、いまのところその宇宙塵はどうしてできたかその原因は分からないのだともいわれます。とにかく火星のまわりを無数の星のかけらが包んでいるものにちがいありません。そういうものがあると、電波は宇宙塵に吸いとられてしまって、達しにくくなるのです」
「ああ、やっと通信の調子のわるいわけが、ぼくに分りました」
「そして、宇宙塵のあるかぎり通信がうまくいかないわけですね」