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さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

「少年読売」1948(昭和23)年3~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页

青空文庫

ことに、机のうえで頭をひねるだけではなく宇宙旅行の経験をつんだマルモ・ケン氏のような人から、実地の話をよく聞いて、それを土台にして設計をしないと完全なものは出来ない。

乗組員の煙の中をくぐっての一生けんめいな努力によって、モーターの配線が、あたらしく張られた。それで気密扉が下りるようになった。

それが下りると、火災の方もやや下火となった。しかしまだときどき小爆発をするので安心はならなかった。

幸いにも、火星への距離はいよいよ近くなり、着陸まではまず持ちこたえられることが分かって乗組員たちの顔も大分明るくなった。

ロケット宇宙艇新月号が、火星に着陸したのは、月世界をとびだしてから、ちょうど三ヶ月と二日目だった。火災のために到着がすこしくるって遅くなったが、だいたい予定どおりであった。

着陸のときは、まだ火災は消え切っていないし、宇宙塵にやられてこわれた部分はそのままであったから、はたして無事に着陸できるかと案じられた。

だが万事うまくいった。艇の下側から、着陸用のソリがひきだされる。そして火星の表面に着陸地帯として、もってこいの平らな砂漠を探しあてると、一気にそれへまい下ったのであった。