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さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

「少年読売」1948(昭和23)年3~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页

青空文庫

そのときマルモ探検隊が最悪の危機をむかえることは、今さら覚悟をあたらしくするまでもないことだった。

このへんで、マルモ隊長は、はらをきめなくてはならない。

意外な正体

ついに、決死の偵察隊が、光る怪塔のところへ派遣されることになった。

その人選は、マルモ隊長がした。

カンノ博士が偵察隊員に任ぜられた。

それからカコ技師に、タクマ機関士、それに正吉少年の四名だった。

ところがコックのキンちゃんが、ぜひつれていってくれといってきかない。ことに、彼は正吉少年の身の上を心配して、正吉が行くところへは、ぜひ自分を護衛者としてやってくれと、隊長へ熱心にねがった。

そのあげく、キンちゃんの願いは、ついにゆるされた。正吉とキンちゃんとは大よろこびで抱きあった。

「それでは、行ってきます」

と、カンノ博士は、さすがに顔をかたくして、マルモ隊長以下に別れのことばをのべた。

「成功をいのる。みんなの運命が、君たちの行動にかかっているんだから、自重してくれたまえ」

マルモ隊長は、そういって、目をまたたいた。

一行五名は出発した。

のこる隊員は、やはり怪塔への監視をゆるめなかった。