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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
「なぜ、あんな命令を出したんだろう」
と、正吉はおもしろくなかった。飛行機に乗って離陸するときでさえ、たいへん気持がいい。ましてや、このふうがわりの最新式ロケット艇の新月号で離陸せるときは、さぞ壮観であろう。だからぜひ見たい。
また高度がだんだん高くなって、太平洋と太西洋とがいっしょに見えるようになるところもおもしろかろう。ぜひ見たい。
なぜマルモ艇長は、それを禁ずるのであろうか。しかも一週間の永い間にわたって外を見てはいけないというのはなぜだろう。
正吉は、カンノ博士にあったとき、その話をした。すると博士はニヤリと笑って、
「フフフ、それは艇長の親心というものだ。艇長は君たちのことを心配して、そういう命令を出したんだ。まもった方がいいね」
と艇長の肩を持った。
「なぜ七日間も、窓から外をのぞいちゃいけないんですか、ぼくはその理由を知りたいです」
「それは……それは、今はいわない方がいいと思う。艇長の命令がとけたら、そのとき話してあげるよ」
それ以上、カンノ博士は何もいわなかった。
正吉と同じ不満を持った、初めての宇宙旅行組の者が二十人ばかりいた。それぞれ、こそこそ不満をもらしていたが、先輩たちは何も説明しなかった。