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さんしろう

三四郎

夏目 漱石

三四郎在火车上遇见一位肤色黝黑的女子,不由自主想起故乡的恋人。他假装睡着偷听她和邻座老人聊天,越听越放不下。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 页

青空文庫

「文芸時評社から、どうかなるだろう」

三四郎は立って、机の引出しをあけた。きのう母から来たばかりの手紙の中をのぞいて、

「金はここにある。今月は国から早く送ってきた」と言った。与次郎は、

「ありがたい。親愛なる小川君」と急に元気のいい声で落語家のようなことを言った。

二人は十時すぎ雨を冒して、追分の通りへ出て、角の蕎麦屋へはいった。三四郎が蕎麦屋で酒を飲むことを覚えたのはこの時である。その晩は二人とも愉快に飲んだ。勘定は与次郎が払った。与次郎はなかなか人に払わせない男である。

それからきょうにいたるまで与次郎は金を返さない。三四郎は正直だから下宿屋の払いを気にしている。催促はしないけれども、どうかしてくれればいいがと思って、日を過ごすうちに晦日近くなった。もう一日二日しか余っていない。間違ったら下宿の勘定を延ばしておこうなどという考えはまだ三四郎の頭にのぼらない。必ず与次郎が持って来てくれる――とまではむろん彼を信用していないのだが、まあどうかくめんしてみようくらいの親切気はあるだろうと考えている。広田先生の評によると与次郎の頭は浅瀬の水のようにしじゅう移っているのだそうだが、むやみに移るばかりで責任を忘れるようでは困る。