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さんしろう

三四郎

夏目 漱石

三四郎在火车上遇见一位肤色黝黑的女子,不由自主想起故乡的恋人。他假装睡着偷听她和邻座老人聊天,越听越放不下。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 页

青空文庫

今度は高い音と低い音が二、三度急に続いて響いた。それでぱったり消えてしまった。三四郎はまったく西洋の音楽を知らない。しかし今の音は、けっして、まとまったものの一部分をひいたとは受け取れない。ただ鳴らしただけである。その無作法にただ鳴らしたところが三四郎の情緒によく合った。不意に天から二、三粒落ちて来た、でたらめの雹のようである。

三四郎がなかば感覚を失った目を鏡の中に移すと、鏡の中に美禰子がいつのまにか立っている。下女がたてたと思った戸があいている。戸のうしろにかけてある幕を片手で押し分けた美禰子の胸から上が明らかに写っている。美禰子は鏡の中で三四郎を見た。三四郎は鏡の中の美禰子を見た。美禰子はにこりと笑った。

「いらっしゃい」

女の声はうしろで聞こえた。三四郎は振り向かなければならなかった。女と男はじかに顔を見合わせた。その時女は廂の広い髪をちょっと前に動かして礼をした。礼をするにはおよばないくらいに親しい態度であった。男のほうはかえって椅子から腰を浮かして頭を下げた。女は知らぬふうをして、向こうへ回って、鏡を背に、三四郎の正面に腰をおろした。

「とうとういらしった」