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さんしろう

三四郎

夏目 漱石

三四郎在火车上遇见一位肤色黝黑的女子,不由自主想起故乡的恋人。他假装睡着偷听她和邻座老人聊天,越听越放不下。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 169,765 字 · 343 页

青空文庫

三四郎はそんな事に気のつく余裕はない。

「はあ」と言って立ち止まった。

「十五号室はどの辺になりましょう」

十五号は三四郎が今出て来た部屋である。

「野々宮さんの部屋ですか」

今度は女のほうが「はあ」と言う。

「野々宮さんの部屋はね、その角を曲がって突き当って、また左へ曲がって、二番目の右側です」

「その角を……」と言いながら女は細い指を前へ出した。

「ええ、ついその先の角です」

「どうもありがとう」

女は行き過ぎた。三四郎は立ったまま、女の後姿を見守っている。女は角へ来た。曲がろうとするとたんに振り返った。三四郎は赤面するばかりに狼狽した。女はにこりと笑って、この角ですかというようなあいずを顔でした。三四郎は思わずうなずいた。女の影は右へ切れて白い壁の中へ隠れた。

三四郎はぶらりと玄関を出た。医科大学生と間違えて部屋の番号を聞いたのかしらんと思って、五、六歩あるいたが、急に気がついた。女に十五号を聞かれた時、もう一ぺんよし子の部屋へあともどりをして、案内すればよかった。残念なことをした。

三四郎はいまさらとって帰す勇気は出なかった。やむをえずまた五、六歩あるいたが、今度はぴたりととまった。