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さんどあったじゅんさ

三度会った巡査

森 律子

「週刊朝日 十月八日号」1950(昭和25)年10月8日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,215 字 · 5 页

青空文庫

、何か叮嚀親切に道順を教えて呉れました。

如何にもよく判つたつもりの私は「サンキュー」の一言をあとに、言われたままに右に折れ、真ッ直ぐに何町、また左へ曲つて歩いて参りますと、不思議、これはまた何うしたことか、いま道をきいたばかりの巡査がそこに立つているではありませんか!

あいにくバッタリ顏が合つてしまつたので、ちよつとテレ隠しにニヤ/\と笑つて目礼して、またそこから、改めて先刻教わつた道順を、こんどは一層念入りに歩いてやつて来て見ると、またしても同じ場所に同じ巡査が立つていました。しかしもうこんどはニヤ/\と笑う勇気もなく、逃げるように番号の数を一人で探しながらグルグルと足に任せて歩き回りました。そのうちに三度わたしの目の前に立つたのは以前の警官の後姿で、わたしは何か警官の生霊にでも取付かれたように、方角を見定めるいとまもなく、恐しさと恥かしさがいつぱいになつて、思わず後へ引返しました。

いまは全く「八幡の藪知らず」の形となりました。腕時計を見れば約束の時間は遠慮なく過ぎて行き、日本に比べれば涼しいはずのロンドンでも、こうなりますと、全身汗だくになつて泣くにも泣かれず、途方に暮れて立往生してしまいました。